『ロックを再生する』友よ、また逢おう
片岡義男『彼らを書く』を読んで「なんであの映画がないんだ!」と思われた方は、きっとたくさんいらっしゃると思います。それらの「紙面に登場しなかった」映像作品について取り上げ、これまでとはちょっと違ったユニークな視点から掘り起こしていこうというのが新連載『ロックを再生する』です。書き手(そして本編イラストも)は『僕も彼らを書く』に引き続き、編集者の篠原恒木さんです。
◆著者紹介
篠原恒木(しのはらつねき)
光文社の編集者。女性月刊誌『JJ』の元編集長。現在は宣伝の統括を担う。片岡義男の編集担当として以下の3作品を世に出した。『珈琲が呼ぶ』、『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』の2作は珈琲ブームの火種にもなった作品。そして、片岡義男とガッツリ肩を組み、長期に渡り合ったザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーに関するエッセイ集『彼らを書く』。これらは、篠原恒木自身の連載『僕も彼らを書く』、『ロックを再生する』へと続いている。
◆著者よりひとこと
「自分の好きな服を着ればいい」
「自分の言葉で話せばいい」
「自分の声で歌えばいい」
「自分が好きなように生きていけばいい」
ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像を再生すれば、
いつだって彼らは僕にそう語りかけているような気がします。
だから僕は、さらに「彼らを書く」のです。
◆ 最新刊(2023/12/28公開)
第148回(最終回)『友よ、また逢おう』
ジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』(1973)は1962年夏のカリフォルニア州モデストを舞台に、高校を卒業した若者たちが共に過ごした最後の一夜を描き大ヒットしました。公開時には日本でも劇中で使われたオールディーズや当時のファッションに大きな注目が集まりました。1962年のアメリカではロックは下火になっていたものの「古き良き最後の時代」でもあり、それだけにラストで提示される登場人物たちのその後に慄然とした人も多いのではないでしょうか。そして、6年後に製作された続編『アメリカン・グラフィティ2』では1964年から1967年までの大晦日を舞台とし、前作の登場人物たちのその後が時間軸を目まぐるしく交錯させながら描かれていきます。この間、アメリカではケネディ暗殺、ベトナム戦争への介入などがあり、また音楽シーンでもザ・ビートルズなどブリティッシュ・ロックの上陸を経て社会問題をテーマにした曲が増えるなど、混迷の時代に入っていきます。そんな時代を、前作の登場人物たちはどのように生きていったのでしょうか……。
→ 作品を読む
※「ロックを再生する」は今回が最終回です。ご愛読、ありがとうございました。2024年1月からは、篠原恒木さんによる新しい連載がはじまります。ご期待ください!
◆ 過去の連載
- 第147回『世界最古の電子楽器』
- 第146回『チャーリーは恋人』
- 第145回『アレサの「ソウル」』
- 第144回『十字路で悪魔と契約』
- 第143回『ロックンローラー、十七歳の死』
- 第142回『ロックの学校』
- 第141回『意志の人、リンダ』
- 第140回『インドで四人は変わったか』
- 第139回『狂熱のライヴ、再見』
- 第138回『マン・イン・ブラック』
- 第137回『「喧嘩するほど仲がいい」のか』
- 第136回『ジャニス・ジョプリン』
- 第135回『ジミ・ヘンドリックス』その3
- 第134回『ジミ・ヘンドリックス』その2
- 第133回『ジミ・ヘンドリックス』その1
- 第132回『イーグルス』
- 第131回『ブルースしかないのさ』
- 第130回『「ローリング・ストーンズ」その3』
- 第129回『「ローリング・ストーンズ」その2』
- 第128回『「ローリング・ストーンズ」その1』
- 第127回『トーキング・ヘッズ』
- 第126回『ザ・ポリス』
- 第125回『テケテケテケテケ』
- 第124回『スマイル!』
- 第123回『永遠のペット・サウンズ』
- 第122回『結成五十周年の「ボーイズ」』
- 第121回『このライヴ、素敵じゃないか』
- 第120回『担ぎ出されたブライアン』
- 第119回『影武者の演奏職人たち』
- 第118回『エンド・ロールで号泣』
- 第117回『僕はイマドキには向いていないのかな』
- 第116回『生きているだけで有難い人』
- 第115回『傷だらけの天才・後編』
- 第114回『傷だらけの天才・前編』
- 第113回『ザ・ビーチ・ボーイズ通史』
- 第112回『「アメリカン・バンド」のレア映像集』
- 第111回『おじさんロックの滋味』
- 第110回『ゲット・バック/第三部』
- 第109回『ゲット・バック/第二部』
- 第108回『ゲット・バック/第一部』
- 第107回『「ベスト盤」は侮れない』
- 第106回『好青年ですが上半身しか映しません』
- 第105回『どうかお静かに!』
- 第104回『エド・サリヴァンへの個人的感情』
- 第103回『「イエス、サー」の人生』
- 第102回『「マネージャーが準主役」の劇映画』
- 第101回『「ここまで落ちたの?」』
- 第100回『妻と娘が語るエルヴィス』
- 第99回『これがエルヴィスだ・後編』
- 第98回『これがエルヴィスだ・前編』
- 第97回『日本にいちばん近づいたエルヴィス』
- 第96回『さあ、仕事だ』
- 第95回『八年ぶりのオン・ステージ』
- 第94回『エルヴィスの劇映画、第1位から第31位まで』
- 第93回『最後の劇映画での最後のシーン』
- 第92回『モノクロームで観たかった』
- 第91回『髭面は「新境地」だったのか』
- 第90回『エルヴィス、ついに帰る』
- 第89回『片岡さんも観た‼』
- 第88回『タランティーノも観たのだろうか』
- 第87回『正しく破天荒なエルヴィス』
- 第86回『御曹司の気持ち』
- 第85回『ついに日本未公開』
- 第84回『カウンター・カルチャーとエルヴィス』
- 第83回『ダブル・ネック・ギター万才』
- 第82回『きわめて誠実に嘘をつく』
- 第81回『アメリカン・オールド・シネマ』
- 第80回『コスプレスリー万才』
- 第79回『烏賊酢是! 此之鯉』
- 第78回『女装したエルヴィス』
- 第77回『地方が似合うエルヴィス』
- 第76回『ヒロインがライヴァル』
- 第75回『人生は一度でじゅうぶん』
- 第74回『メキシコに行かなかったエルヴィス』
- 第73回『万博とエルヴィス』
- 第72回『ふたたびハワイで歌いまくり』
- 第71回『ぼくはブロンソンが大好き』
- 第70回『政治から遠く離れて「夢の渚」へ』
- 第69回『これが夢のハワイだ』
- 第68回『最後のチャンスだったけれど』
- 第67回『歌って踊らないエルヴィス』
- 第66回『そして二年の月日が流れ去り、』
- 第65回『「ロビー史観」のザ・バンドだけど』
- 第64回『「人生そのもの」とは』
- 第63回『利用可能な素材なのでしょうか』
- 第62回『大人の色気について考える』
- 第61回『事態は変わってしまった』
- 第60回『こいつはすげぇな』
- 第59回『我々が原点だ』
- 第58回『時代は変わるが日常は変わらない』
- 第57回『これは美しい物語ではない』
- 第56回『ディランとトラヴォルタの東京散歩』
- 第55回『小さな自由が待っている』
- 第54回『他人のピークを決めつけるな』
- 第53回『プロが作ってプロが歌うと』
- 第52回『トラブル・ノー・モア』
- 第51回『ロックが聴きたいならKISSのライヴに行け』
- 第50回『いいところを褒めよう』
- 第49回『ディランの「動く写真集」とは』
- 第48回『ミスター・ジョーンズ』
- 第47回『ディランはかく語りき』
- 第46回『ドーモ、スキヤキです』
- 第45回『頑張れ、ディラン』
- 第44回『果てしなく続くディランの旅』
- 第43回『時代は変わる。ディランも変わる』
- 第42回『ザ・バンドとの日々』
- 第41回『ボブ・ディラン、その始まりの始まり』
- 第40回『逃げ出して、寝ていた』
- 第39回『「日本公演は手抜き」疑惑を検証する』
- 第38回『あの日のジョン・レノン』
- 第37回『紀元前ウン百万年、十月九日』
- 第36回『二度買い上等』
- 第35回『四人もアイドル!』
- 第34回『非式な証言集』
- 第33回『イチゴを忘れるなよ』
- 第32回『コンセプチュアル・アルバムとは』
- 第31回『こうなるとわかっていたよ』
- 第30回『もうひとつのイエスタデイ』
- 第29回『十三日間のメンバー・チェンジ』
- 第28回『リンゴとマカロニ』
- 第27回『イエスタデイ』
- 第26回『トリビュート問題』
- 第25回『想像してみてよ』
- 第24回『さあ、みなさん、ご一緒に』
- 第23回『僕はやりたいな』
- 第22回『「リン語」の唄』
- 第21回『貸した七万五千円を返せ』
- 第20回『リンゴとキャンディ』
- 第19回『ブロード・ストリートによろしくと』
- 第18回『不思議の壁の穴』
- 第17回『フィッシュ・アンド・チップス』
- 第16回『もうひとりのジョージ』
- 第15回『愛したい、愛されたい』
- 第14回『僕はこの国が好きなんだ』
- 第13回『あの事件に真相などない』
- 第12回『『ライ麦畑』さえ読まなければ』
- 第11回『彼に何か食べさせよう』
- 第10回『夢で逢いましょう』
- 第9回『ダーク・ホースの輝き』
- 第8回『ジョージは大仕事をやり遂げた』
- 第7回『許してほしいと伝えてくれないか』
- 第6回『「一週間に八日」のハード・デイズ』
- 第5回『ポールの空回り』
- 第4回『LOVEってなんだろう』
- 第3回『永遠に十年早い映画』
- 第2回『お願いだから、もう助けてくれ』
- 第1回『ビートルズ映画にエルヴィスが出演』
◆ 『彼らを書く』(2020/04/22刊行)
“このように書かれた「彼ら」を読むのは初めてだ。圧倒された。”
細野晴臣氏(音楽家)
採り上げられた映像作品は全部で31作品。有名な『A HARD DAY’S NIGHT』や『HELP!』などが含まれていない「カタオカ・チョイス」にも、ファンの深読みがすでに始まっている。ディラン再来日、そして9月公開予定のザ・ビートルズ映画『GET BACK』を心待ちにしながら読み進めるのには最適の一冊。
【単行本】光文社|定価:本体2,000円+税|256頁
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