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『ロックを再生する』エンド・ロールで号泣

『ロックを再生する』エンド・ロールで号泣

2023年5月25日 00:00

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片岡義男『彼らを書く』を読んで「なんであの映画がないんだ!」と思われた方は、きっとたくさんいらっしゃると思います。それらの「紙面に登場しなかった」映像作品について取り上げ、これまでとはちょっと違ったユニークな視点から掘り起こしていこうというのが新連載『ロックを再生する』です。書き手(そして本編イラストも)は『僕も彼らを書く』に引き続き、編集者の篠原恒木さんです。

◆著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

光文社の編集者。女性月刊誌『JJ』の元編集長。現在は宣伝の統括を担う。片岡義男の編集担当として以下の3作品を世に出した。『珈琲が呼ぶ』『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』の2作は珈琲ブームの火種にもなった作品。そして、片岡義男とガッツリ肩を組み、長期に渡り合ったザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーに関するエッセイ集『彼らを書く』。これらは、篠原恒木自身の連載『僕も彼らを書く』、『ロックを再生する』へと続いている。

◆著者よりひとこと

「自分の好きな服を着ればいい」
「自分の言葉で話せばいい」
「自分の声で歌えばいい」
「自分が好きなように生きていけばいい」
ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像を再生すれば、
いつだって彼らは僕にそう語りかけているような気がします。
だから僕は、さらに「彼らを書く」のです。

◆ 最新刊(2023/5/25公開)

第118回『エンド・ロールで号泣』
第118回『エンド・ロールで号泣』

映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(2014/ビル・ポーラッド監督)は、ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの半生を描いた伝記映画。ポール・ダノとジョン・キューザックがそれぞれ1960年代と1980年代のブライアンに扮し、2つの時代の話が交互に描かれます。衣装や小道具の再現度の高さには驚くべきものがあるだけに、1980年代のブライアンを演じるジョン・キューザックがブライアンに似ていない点は非常に残念なのですが……。それはさておき、ドラマの内容は事実を忠実にトレースしており、『Pet Sounds』の不評と「Good Vibrations」の大ヒット、『SMiLE』の頓挫により徐々に精神を蝕まれていく60年代のブライアンと、のちに妻となるメリンダによって、精神的にブライアンを支配していた医者から彼が救われるまでを描いた80年代を行ったり来たりしながら物語は進んでいきます。そしてラスト、エンドロールに表れた映像と音楽に篠原さんは号泣したと言います。
作品を読む

◆ 次回予告

第119回『影武者の演奏職人たち』
2023/6/1公開
第119回『影武者の演奏職人たち』

「ザ・ビーチ・ボーイズ」の項でしばしば登場した「レッキング・クルー」。1960年代から70年代前半にかけて、多くのヒット曲で演奏を務めた、アメリカ西海岸のスタジオ・ミュージシャンたちを指します。ザ・ビーチ・ボーイズだけでなく、ママス&パパス、サイモン&ガーファンクル、フランク・シナトラ、ザ・モンキーズ、カーペンターズなど、彼らが関わった曲を列記すると、おそらく60年代から70年代のアメリカのポップ・チャートをそのまま書き写すことと変わらないだろう、というくらい数えきれないほどの数の曲に関わっているのです。でもあくまでも彼らは「影武者」で名前は出ません。次回はこの「レッキング・クルー」を追った2004年のドキュメンタリー映画『レッキング・クルー 伝説のミュージシャンたち』を取り上げます。DVDディスクには劇場公開版とは別に、何と390分(!)という長さのお宝級の証言集がついており、これも必見です。

◆ 『彼らを書く』(2020/04/22刊行)

◆ 『彼らを書く』(2020/04/22刊行)
“このように書かれた「彼ら」を読むのは初めてだ。圧倒された。”
細野晴臣氏(音楽家)

採り上げられた映像作品は全部で31作品。有名な『A HARD DAY’S NIGHT』や『HELP!』などが含まれていない「カタオカ・チョイス」にも、ファンの深読みがすでに始まっている。ディラン再来日、そして9月公開予定のザ・ビートルズ映画『GET BACK』を心待ちにしながら読み進めるのには最適の一冊。

【単行本】光文社|定価:本体2,000円+税|256頁

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