一九八五年九月、ウィリー・ネルソンらの主導でアメリカの農業支援を目的としたチャリティ・コンサート「ファーム・エイド」が行なわれた。前回の連載でも書いたが、このイヴェントは、その二カ月前に開催された「ライヴ・エイド」に出演したボブ・ディランの場違いなスピーチがきっかけとなったのだから、まさに瓢箪から駒といった流れである。「ライヴ・エイド」はアフリカ難民支援がテーマだったが、ディランはステージ上で、
「今日集まったかねの一部、百万ドルでもいいし、二百万ドルでもいいから、借金返済に困っているアメリカの農家への援助に回されるこ…