高校一年生のとき、ひととおりザ・ビートルズの公式アルバムを買い揃えた僕はふと思った。一九七六年のことだった。
「一九六六年に行なわれた彼らの日本公演の演奏が聴きたい」
ならばここは海賊版のレコードを購入するしかないと判断して、輸入レコード店が林立していた西新宿へと向かった。雑居ビルやマンションの一室に店を構えているショップも多く、十六歳のシノハラ少年にとっては、店に入っていくのにも躊躇するありさまだった。当てずっぽうで入った最初のレコード店で、日本公演の音源を収録した海賊版LPはあっけなく見つかった。タイト…