映画の冒頭シーンを観て、
「あれ? 徴兵前のエルヴィスがよく演じていたキャラクターに戻ったな」
と思った。他者に対して上手に感情を表現できず、そのうえ鼻っ柱が強く、トラブルばかり起こしている若者だ。前作のViva Las Vegas『ラスベガス万才』では、あんなにスマートな大人の役を演じていたのに、これでは一九五七年から五八年にかけて公開されたエルヴィス映画のテイストに逆戻りしているではないか。そう感じたのだが、映画を観ていくうちに考えが変わった。やはりこの頃のエルヴィスにはこういう役がぴったりだ。