「御曹司」という言葉はいまでも通用するのだろうか。「若旦那」「お坊っちゃん」「ぼんぼん」などが類義語のようにも思えるが、つまりは「かね持ちの息子」だ。あいにく僕はかね持ちの息子として生まれてこなかったので、彼らの気持ちはまったくわからないが、子どもの頃に、
「もう少し親がかね持ちだったらなぁ」
と、たまに思ったことはあったような気もする。欲しいものが何でも手に入って、広い家に住んで、毎日カラーTVを見て暮らせたらいいなぁと、幼い頃には考えたであろうという記憶があるのだ。自分の部屋は中学生になってから、ようやく…