1 無垢なアメリカ、その最後の一夜
映画のラストで「主な登場人物のその後」が字幕で出てくる、というパターンがある。一九七三年の映画『アメリカン・グラフィティ』はその代表例だろう。しかし、このラストは反則だ。ほろ苦い気分になる。最初に観たときは不覚にも涙を流してしまった。運命というものは残酷だ。決して平等ではない。
一九六二年九月、カリフォルニア州のモデストという地方都市で高校を卒業した四人は、ある一夜をともに濃密に過ごした。映画では全篇にわたって彼らの「ワン・ナイト」が描かれる。そして夜が明け…