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ロックを再生する|第68回|最後のチャンスだったけれど

 全力で演技に取り組んだ、社会派の西部劇『燃える平原児』が興行的に振るわなかったエルヴィスに、もう一度シリアスな役を演じる機会が与えられた。しかも『燃える平原児』の直後である。これは彼にとっても僥倖だったことだろう。逆に言えば、シリアスな本格俳優になるための最後のチャンスだ。大衆の人気を得られなかった西部劇を避け、次作の舞台は現代になった。コメディ映画ではない。自分の境遇、生き方、そして愛に苦悩する青年が主役の物語だ。ジェイムズ・ディーンを崇拝していたエルヴィスは、これこそが自分の演じるに値する役だと思ったに違いない。
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