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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

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作品一覧

公開作品 2262

水鉄砲をふたつもらった

水鉄砲をふたつもらった

 午前中最後の電話は彼女からだった。 「会いましょうよ。久しぶりに」  と、彼女は言った。  桜が終…

国語辞典で過ごすひととき

国語辞典で過ごすひととき

 ワードプロセサーが置いてあるデスクから手の届くところに、国語辞典が二冊ある。一冊は角川書店の『国語…

ホテルの部屋で浴室の鏡に映る自分

ホテルの部屋で浴室の鏡に映る自分

 午後の一時から二時までのあいだに、東京駅から東海道新幹線に乗る。いつもそうだ。もはや儀式になってい…

僕がまだお利口だった頃

僕がまだお利口だった頃

 いまからゆうに半世紀を越える昔、電車ごっこという遊びがあった。自分の前にいる人の肩、あるいは腰に両…

三十年ぶりの歯痛

三十年ぶりの歯痛

 歯が痛くなった。結論をまず書いておくと、虫歯だ。これまで虫歯は一本もなかったのだが。下顎の左右、い…

B面って、なんですか

B面って、なんですか

 僕がこれまで書いてきた数多くの短編小説のなかに、『アビー・ロードのB面』そして『B面の最初の曲』と…

ワープロというものをめぐって

ワープロというものをめぐって

 僕は自分のことをいっさいなに者でもないと思っている。なに者でもないかわりに、僕自身ではあるだろう、…

中古のLPというミステリー

中古のLPというミステリー

 自分でLPレコードを買い始めたのは高校生の頃からだ。その十年くらい前から、すでにLPの時代だった。…

タイプライターを買った

タイプライターを買った

 タイプライターを買った。今回は手動のものだ。手動のタイプライターを買うのは久しぶりだ。長いあいだ電…

原稿用紙について思う

原稿用紙について思う

 この短いエッセイを僕はワープロで書いている。ワープロという言いかたを僕は好まないが、電子式文書作成…

なぜ古書店に入るのか

なぜ古書店に入るのか

 街を歩いていて新刊本の書店があっても、僕は入らない。しかし古書店には、かならず入る。古書店にもいろ…

アメリカの広告物語 3 僕を大人にしてくれたパーカー51

アメリカの広告物語 3 僕を大人にしてくれたパーカー51

 一九四七年十一月三日号の『ライフ』に掲載された、パーカー万年筆の広告だ。万年筆とシャープ・ペンシル…

アメリカの広告物語 2 グレイハウンドの旅

アメリカの広告物語 2 グレイハウンドの旅

 カリフォルニアからニューヨークまでグレイハウンドで旅をすると、あの広い国を、その横幅いっぱいに地べ…

アメリカの広告物語 1 ポータブル・ラジオの時代

アメリカの広告物語 1 ポータブル・ラジオの時代

 一九四九年のアメリカの雑誌に掲載された、モトローラ社のポータブル・ラジオの広告を、いま僕は見ている…

庭にあるタイル張りの箱

庭にあるタイル張りの箱

 水着姿の裕美子は廊下から居間へ入った。そしてソファに囲まれたテーブルへ歩いた。父親より三歳だけ年上…

新しいリスナーのためのボブ・ディラン

新しいリスナーのためのボブ・ディラン

 ボブ・ディランという名前を僕が最初に知ったのは大学生の頃だった。ニューヨークの新聞に彼についての短…

僕のクレヨン・ボックス ア・グラス・オブ・ウオーター

僕のクレヨン・ボックス ア・グラス・オブ・ウオーター

 八月の東京をぼくといっしょに歩きながらアメリカの友人が「東京にはウオーター・クーラーがなくて困る」…

歌謡曲が聴こえる 来日記念盤、という日本(承前)

歌謡曲が聴こえる 来日記念盤、という日本(承前)

 カーメン・キャヴァレロは一九六六年に四度目の来日公演をおこなっている。一九六〇年代の初めから一九七…

歌謡曲が聴こえる 来日記念盤、という日本

歌謡曲が聴こえる 来日記念盤、という日本

外人歌手の置きみやげ  その中古レコード・CD店の広いスペースのいちばん奥は、シングル盤の置いてあ…

歌謡曲が聴こえる 「カヴァー・ソングの女王」ちあきなおみ

歌謡曲が聴こえる 「カヴァー・ソングの女王」ちあきなおみ

幸せな、遭遇の瞬間  一九八〇年代の後半に入って一年ほど、つまり一九八六年あたりだったのではないか…

歌謡曲が聴こえる 由紀さおりとピンク・マルティーニ

歌謡曲が聴こえる 由紀さおりとピンク・マルティーニ

聴衆が持つ感覚の触手  楽器編成とは編曲のことだ。あるひとつのバンドが、基本的にどのような楽器編成…

散歩して迷子になる 40(最終回) 現在に過去と未来を重ねるには

散歩して迷子になる 40(最終回) 現在に過去と未来を重ねるには

 僕が自分で書く小説の材料はすべて自分のなかにある、という話はすでに何度も書いた。自分のなかとは、こ…

散歩して迷子になる 39 若年労働者と一枚の小切手

散歩して迷子になる 39 若年労働者と一枚の小切手

 僕が自分で書いた文章に対して、報酬が支払われた最初の例は翻訳だった。アメリカの主としてハードボイル…

散歩して迷子になる 38 フィクションの人になりたい

散歩して迷子になる 38 フィクションの人になりたい

 自宅でデスクに向かい、ひとり小説の原稿を書いている僕という人は、現実の日常を生きているこの生き身の…

散歩して迷子になる 37 短編小説を書く途中で

散歩して迷子になる 37 短編小説を書く途中で

 自分で書く小説のための材料は、少なくとも書き始める段階にまでいたれば、すべて自分のなかにある。そし…