この短いエッセイを僕はワープロで書いている。ワープロという言いかたを僕は好まないが、電子式文書作成機などと言うわけにもいかない。ごく普通にワードプロセッサーと書くのが、いまのところもっとも平凡でいい。WPと略記する方法もある。外国、特にヨーロッパだと、ヴィデオ・ライターと呼ぶこともある。
ワープロですべての文章を書くようになって、十五年を越えたあたりだろうか。ワープロで書く、というのもおかしな言いかただ。ワープロで作る、が妥当なところではないか。ワープロのキーを叩く、と表現する人は多いが、叩くというほど力のこもる作業で…
『酒林』59号 二〇〇〇年一月