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評論・エッセイ

国語辞典で過ごすひととき

 ワードプロセサーが置いてあるデスクから手の届くところに、国語辞典が二冊ある。一冊は角川書店の『国語辞典』の昭和五十七年第二百五十版、そしてもう一冊は三省堂の『新明解国語辞典』の一九八一年第三版だ。どちらも辞典の業界では小型版と呼ばれている、手に取りやすいサイズだ。二冊とも自分で買ったが、買ってから三十年になるのがもうじきだと思ったら、新しいのを買いたくなった。
『新明解国語辞典』小型版の第六版をまず手に入れた。見覚えのある赤いヴィニールの表紙は、僕が持っている第三版では、上下ふたつの四角い角のところから、じつに見事にめく…

『酒林』二〇一〇年一月

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