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評論・エッセイ

新しいリスナーのためのボブ・ディラン

 ボブ・ディランという名前を僕が最初に知ったのは大学生の頃だった。ニューヨークの新聞に彼についての短い記事が掲載されているのを、たまたま僕は読んだ。アメリカの新聞なら、読む気になればたいていのものは読める環境が、身近にあったからだ。ブルースの伝統のなかからそれを継承する若い才能が登場し、彼の歌やギターが、関心ある人々の注目を集めているようだ、ということはよくわかった。そして次の年の確か春先に、『ボブ・ディラン』というタイトルのデビューLPを僕は買った。買った場所は立川の米軍基地の売店だ、これだけは正確に覚えている。ボブ・ディランという…

『Switch』二〇〇七年十一月号

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