街を歩いていて新刊本の書店があっても、僕は入らない。しかし古書店には、かならず入る。古書店にもいろいろある。店によって微妙な差異や歴然たる落差などがあり、それを感じ取るだけでも、古書店には入ってみるだけの値打ちがある。
コミックス、文庫、CD、そしてヴィデオだけをかなり大量に在庫している店には、古書店という言葉はあてはまらない気がする。そのようなものが用済みとして手放されたのを回収し、中古としてふたたび供給するという、一種のリサイクル店だ。広さのある店内に白い棚が規則的にならび、照明が明るく、棚にならんでいる文庫やコミ…
『酒林』58号 一九九九年九月