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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

アメリカの広告物語 1 ポータブル・ラジオの時代

 一九四九年のアメリカの雑誌に掲載された、モトローラ社のポータブル・ラジオの広告を、いま僕は見ている。広告の画面まんなか左寄りに描かれている、一九四九年における最新式のポータブル・ラジオは、直流と交流そして電池のいずれでも作動するモデルが、電池は抜きで二十九ドル九十五セントだった。

 現在の為替レートで換算してもあまり意味はないが、五十年前のアメリカで最新式のポータブル・ラジオが一台、いまの値段で四千円しなかった。五十年前で二十九ドル九十五セントという値段は、驚くべき安さだ。製品と名のつくほとんどのものを、世…

『CIGAR』No.3 一九九八年十二月

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