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評論・エッセイ

B面って、なんですか

 僕がこれまで書いてきた数多くの短編小説のなかに、『アビー・ロードのB面』そして『B面の最初の曲』というタイトルの作品がある。ごく最近、二十二、三歳の青年から、「B面って、なんですか」と、質問された。CDが普及する以前、およそ三十年ほど、LPというレコードの時代があった。直径三十センチの黒いビニールの円盤で、裏表両面に音溝が刻んであった。表の面をA面、そして裏に該当する面を、B面と呼んでいた。
 LPは完全に消滅したわけではないが、LPを見たり手にしたことが一度もなく、したがってターン・テーブルで回転させて再生した経験のま…

『酒林』63号 二〇〇二年一月

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