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評論・エッセイ

僕がまだお利口だった頃

 いまからゆうに半世紀を越える昔、電車ごっこという遊びがあった。自分の前にいる人の肩、あるいは腰に両手を軽くかけて、何人かの子供が一列につながる。先頭の子供はおそらく運転手になったつもりだ。こうして一列につながった子供たちが、走る電車の音を真似たり、次はどこそこに停まりますなどと言いながら、電車ごっこの歩調でゆっくりと前進していく。これがもっとも基本的な電車ごっこだった。いっしょに遊びたくて家から出てきた子供は、駅にとまるまでついていき、そこでその電車に乗る、つまり列のどこかに加わるのだった。
 三メートルほどの紐があれば…

『酒林』68号 二〇〇四年十一月

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