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評論・エッセイ

歌謡曲が聴こえる 来日記念盤、という日本(承前)

 カーメン・キャヴァレロは一九六六年に四度目の来日公演をおこなっている。一九六〇年代の初めから一九七〇年代まで、キャヴァレロの来日ごとに少なくとも一枚のLPが、来日記念盤として製作されては市場に出た。記念盤とは別に、日本国内で編集されたLPが、レコード会社の販売政策が必要とするたびに製作され、これもおなじように市場に出た。
 国内で編集された彼のLPでは、AB両面で十二曲あるとして、少なくとも四曲や五曲は、そして多いときでは半分ほどが、先行した何枚かのLPにすでに収録されている曲だった。おなじいくつもの演奏音源が、何枚もの…

『新潮45』二〇一二年十一月号

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