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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ワープロというものをめぐって

 僕は自分のことをいっさいなに者でもないと思っている。なに者でもないかわりに、僕自身ではあるだろう、あるいは、僕自身ではありえない、と願っている。自分が自分自身であることができるなら、僕はそれ以外のなに者にもなりたくない。
 ただし、職業の職種や仕事における肩書などを、この僕ですら必要とするときがたまにある。大人になってからの年月を自由業あるいは無職で生きてきたが、自由業や無職では都合の悪いときには、文筆業、著述業、作家、小説家、といった言葉を使わなくてはいけない。こういう言葉が肩書であるのかどうか、正確には僕は知らないが…

『酒林』62号 二〇〇一年十月

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