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『ぼくは片岡さんが大好き』低地の味がする

『ぼくは片岡さんが大好き』低地の味がする

2024年4月17日 00:00

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1冊の本が出来上がるまでには多くの人が関わります。とりわけ編集者は、本の形すら見えていない段階から常に作家の近くに寄り添い、共にゴールを目指す同志とも言える存在でしょう。そして、その作家についてもっともよく知っているのが編集者、とも言えるのではないでしょうか。この連載では、片岡義男の4作品を世に出し、ここ数年を片岡との二人三脚で歩んできた編集者・篠原恒木さんに実際に見た・聞いた「片岡義男についてのさまざまなエピソード」を語っていただきます。篠原さんの手によるイラストと共にお楽しみください。

◆ 著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

女性月刊誌『JJ』(光文社)元編集長、出版物の宣伝統括などを担う。片岡義男の編集担当としてこれまで4作品を世に出す。特に『珈琲が呼ぶ』(2018)は刊行当時、珈琲ブームの火種ともなった。この他、片岡自身が物書きから作家としてデビューするまでを綴った『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』(2016)、片岡義男が愛する3組のミュージシャン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像に関するエッセイ集『彼らを書く』(2000)と話題作を送り出す。最新刊は『珈琲が呼ぶ』の続編とも言える『僕は珈琲』(2023)。片岡義男.comでは『彼らを書く』のスピンオフとも言える『僕も彼らを書く』、そして『ロックを再生する』を連載。

◆ 著者よりひとこと

 今回から、片岡義男さんについて僕の知っていることを書かせていただきます。よく「素顔」という言葉がイディオムのように使われますが、この文章は「片岡義男さんの素顔」ではありません。「素顔」というフレーズはなんだかとても胡散臭いですよね。僕も「僕自身の素顔」なんて自分でもよく分かっていませんから。
 ですから、この短い文章は「片岡義男さんに関するエピソードのほんの一部分」です。タイトルは片岡さんの名著からいただきました。僕の気持ちを端的に表すなら、このタイトルしか有り得ませんので。
 片岡さんの作品を愛する皆さまに楽しんでいただければ幸いです。

◆ 最新刊(2024/4/17公開)

第十四回『低地の味がする』
第十四回『低地の味がする』

ある日、片岡義男に誘われて、金曜日と土曜日だけ店を開けているという世田谷代田のコーヒーショップ、グラウベル・コーヒーに同行した篠原さん。そこで飲んだ「ブレンド代田」は実に美味しいコーヒーでした。そしておかわりとしてお店の人に勧められたのが、鹿児島県奄美群島の徳之島の珈琲豆で作られたという「徳之島コーヒー」。無農薬、非化学肥料で栽培されたという大変貴重な国産のコーヒーです。飲み終えて、その感想を片岡に訊ねると「旨いね。低地の味がする」との一言。さすが作家の言葉、と戦慄する篠原さん。その意味するところとは……?→ 作品を読む

◆ 次回予告

第十五回『ノー・コ麺ト』
2024/4/24公開
第十五回『ノー・コ麺ト』

カレーと並び、日本の国民食とも言えるラーメン。「ラーメンを食べましょう」と、片岡義男から誘われたとき、篠原さんは心底驚いたと言います。片岡作品の読者の多くも同じだと思いますが「麺と片岡義男」で真っ先に思い浮かぶのは湯麺(タンメン)であり、ラーメンではないはず。何故ラーメンなのか……。疑念を抱きつつも「片岡義男と一緒にラーメンを啜る」というシチュエーションに胸躍らせた篠原さん。辿り着いたそのお店は、意外にも日本のどこにでもありそうなごく普通のラーメン店でした。片岡はなぜこの店を知ったのか。そしてそのお味とは……?