四人、多ければ六人でテーブルを囲む、片岡義男さんがお気に入りのレストランがある。メニューもワインも豊富で、食べ終わると全員がすべての料理に大満足する店だ。あらかじめ電話で食べたいものをリクエストすれば、その日のメニュー表にないものまで料理してくれる。まだ若いシェフの腕は確かだ。
片岡さんのエッセイでしばしば登場する八巻美恵さん、そして片岡さんと僕の三人は、そのレストランを次に訪問する計画を立てていた。八巻さんが言った。
「片岡さん、何か召し上がりたいものはありませんか。事前のリクエストが可能ですよ」