「写真が七枚あります」
片岡義男さんはそう言って、プリント・アウトした写真を見せた。受け取った僕は一枚ずつ画像を確認した。七枚の写真は、どれも片岡さんが撮影したもので、住宅街の路地の風景が映っていた。場所はどれも東京だ。風景写真とはいえ、凡庸なカットは一枚もない。あの独特な「カタオカ・アングル」で、一見のどかな日常の不安定さを切り取っているものばかりだ。急勾配の坂道、不自然な三叉路、ブロック塀の根元から生えている雑草、どれも片岡さんの視点から撮影された「アンバランスな世界」と言えばいいだろうか。
「じっくりと…