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片岡義男.com 全著作電子化計画

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『ぼくは片岡さんが大好き』指令はリーガル・パッドで

『ぼくは片岡さんが大好き』指令はリーガル・パッドで

2024年7月24日 00:00

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1冊の本が出来上がるまでには多くの人が関わります。とりわけ編集者は、本の形すら見えていない段階から常に作家の近くに寄り添い、共にゴールを目指す同志とも言える存在でしょう。そして、その作家についてもっともよく知っているのが編集者、とも言えるのではないでしょうか。この連載では、片岡義男の4作品を世に出し、ここ数年を片岡との二人三脚で歩んできた編集者・篠原恒木さんに実際に見た・聞いた「片岡義男についてのさまざまなエピソード」を語っていただきます。篠原さんの手によるイラストと共にお楽しみください。

◆ 著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

女性月刊誌『JJ』(光文社)元編集長、出版物の宣伝統括などを担う。片岡義男の編集担当としてこれまで4作品を世に出す。特に『珈琲が呼ぶ』(2018)は刊行当時、珈琲ブームの火種ともなった。この他、片岡自身が物書きから作家としてデビューするまでを綴った『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』(2016)、片岡義男が愛する3組のミュージシャン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像に関するエッセイ集『彼らを書く』(2000)と話題作を送り出す。最新刊は『珈琲が呼ぶ』の続編とも言える『僕は珈琲』(2023)。片岡義男.comでは『彼らを書く』のスピンオフとも言える『僕も彼らを書く』、そして『ロックを再生する』を連載。

◆ 著者よりひとこと

 今回から、片岡義男さんについて僕の知っていることを書かせていただきます。よく「素顔」という言葉がイディオムのように使われますが、この文章は「片岡義男さんの素顔」ではありません。「素顔」というフレーズはなんだかとても胡散臭いですよね。僕も「僕自身の素顔」なんて自分でもよく分かっていませんから。
 ですから、この短い文章は「片岡義男さんに関するエピソードのほんの一部分」です。タイトルは片岡さんの名著からいただきました。僕の気持ちを端的に表すなら、このタイトルしか有り得ませんので。
 片岡さんの作品を愛する皆さまに楽しんでいただければ幸いです。

◆ 最新刊(2024/7/24公開)

第二十八回『指令はリーガル・パッドで』
第二十八回『指令はリーガル・パッドで』

片岡義男が愛用する文具のひとつにMead(ミード)の「ジュニア・リーガル・パッド」という、A5よりもやや小さめで上部にミシン目のあるパッドがあります。このパッド、片岡自身が使うことはもちろんですが、片岡から篠原さんへの「指令(依頼)メモ」としてもフル活用されているようです。指令には、手書き、もしくは資料のスクラップを貼り付けたものとの2種類があり、総じて手書きの方がミッションの難度が高いとのことですが、そこは「トラッキング・ダウンの名手」と自他ともに認める篠原さん。苦しみつつも楽しみながら、獲物を探し、見事手に入れます。それにしても、入手依頼されるCDの脈絡のなさといったら……。→ 作品を読む

◆ 次回予告

第二十九回『片岡義男的な封筒』
2024/7/31公開
第二十九回『片岡義男的な封筒』

ビジネスだけでなく、今や日常でもすっかりスタンダートとなったA4サイズの紙。皆さんはどうやって保管していますか? 篠原さんが使っているのはクリア・ファイル。ある程度の耐久性があり、外から書類が見えるのはよいのですが、でもなんだか面白味には欠けます。ある日のこと、篠原さんの元に片岡義男からダンボール箱が届きます。そこにはCDやDVDに混じって、A4サイズの紙が収まったある封筒が入っていました。色、大きさ、そして閉じ方……これこそまさに「片岡義男という存在の具現化」と篠原さんが感動したその封筒の正体とは?