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片岡義男.com 全著作電子化計画

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『ぼくは片岡さんが大好き』タリーズにて

『ぼくは片岡さんが大好き』タリーズにて

2024年5月22日 00:00

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1冊の本が出来上がるまでには多くの人が関わります。とりわけ編集者は、本の形すら見えていない段階から常に作家の近くに寄り添い、共にゴールを目指す同志とも言える存在でしょう。そして、その作家についてもっともよく知っているのが編集者、とも言えるのではないでしょうか。この連載では、片岡義男の4作品を世に出し、ここ数年を片岡との二人三脚で歩んできた編集者・篠原恒木さんに実際に見た・聞いた「片岡義男についてのさまざまなエピソード」を語っていただきます。篠原さんの手によるイラストと共にお楽しみください。

◆ 著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

女性月刊誌『JJ』(光文社)元編集長、出版物の宣伝統括などを担う。片岡義男の編集担当としてこれまで4作品を世に出す。特に『珈琲が呼ぶ』(2018)は刊行当時、珈琲ブームの火種ともなった。この他、片岡自身が物書きから作家としてデビューするまでを綴った『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』(2016)、片岡義男が愛する3組のミュージシャン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像に関するエッセイ集『彼らを書く』(2000)と話題作を送り出す。最新刊は『珈琲が呼ぶ』の続編とも言える『僕は珈琲』(2023)。片岡義男.comでは『彼らを書く』のスピンオフとも言える『僕も彼らを書く』、そして『ロックを再生する』を連載。

◆ 著者よりひとこと

 今回から、片岡義男さんについて僕の知っていることを書かせていただきます。よく「素顔」という言葉がイディオムのように使われますが、この文章は「片岡義男さんの素顔」ではありません。「素顔」というフレーズはなんだかとても胡散臭いですよね。僕も「僕自身の素顔」なんて自分でもよく分かっていませんから。
 ですから、この短い文章は「片岡義男さんに関するエピソードのほんの一部分」です。タイトルは片岡さんの名著からいただきました。僕の気持ちを端的に表すなら、このタイトルしか有り得ませんので。
 片岡さんの作品を愛する皆さまに楽しんでいただければ幸いです。

◆ 最新刊(2024/5/22公開)

第十九回『タリーズにて』
第十九回『タリーズにて』

篠原さんが片岡義男との打ち合わせによく使っていたという、某私鉄駅に近いタリーズ。常に混雑しているこの店では2人掛けの席を確保するのも大変です。どうにか席を確保し打ち合わせを終えた2人はコーヒーについての雑談に入ります。タリーズのやや大きめのマグカップに隠された秘密について。日本発祥の某コーヒーチェーンのメニューにあるミラノサンドとジャーマンドックという名前の謎について……。篠原さんにとってはいつもの単なる雑談のひとつだったかもしれませんが、雑談を雑談で終わらせないのが片岡義男という作家の作家たる所以。こちらで読めるこの小説の発想の源はこの雑談にありました。→ 作品を読む

◆ 次回予告

第二十回『唯一のコールド・ケース』
2024/5/29公開
第二十回『唯一のコールド・ケース』

篠原恒木さんは片岡義男からレコード探しをよく頼まれますが、その探索と入手の能力は片岡が「トラッキング・ダウンの名手」と讃えるほどの腕前。もちろん、それなりの苦労はあるのですが……。今回、篠原さんが依頼されたのはムード音楽の王様とも言われるマントヴァーニ・オーケストラが、日本のザ・ピーナッツのヒット曲『ウナ・セラ・ディ東京』をカヴァーしたアナログのシングル盤。片岡の守備範囲の広さに驚きつつも、さっそく調査を開始します。まずはネットでジャケット写真の確認から……と思いきや、これが難航します。それでもやっと見つけた細い手がかりを元に、ネットとリアル店舗のはしごを始めるのですが……。