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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

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作品一覧

公開作品 1897

三つのパラグラフのなかの彼女

三つのパラグラフのなかの彼女

 ひさしぶりに彼女に会った。夏のまっさかりの日に会って以来だから、ひさしぶりなのだ。いまは、すでに秋…

彼女と一台の自動車

彼女と一台の自動車

1  秋の午後、やや遅い時間。あるいは、夕方のすこし早い時間。ダイニング・ルームに客をとおす準備は…

ブラックベリーとスニーカーの靴ひも

ブラックベリーとスニーカーの靴ひも

 東京からひとりで自動車を走らせて三時間、彼女は高原のホテルに着いた。  よく晴れた明るい秋の日の…

言葉を捨てた人たちの便利機能満載機種

言葉を捨てた人たちの便利機能満載機種

 僕はいまこの文章をオアシス・ライトのもっとも初期のワープロ(以下、WPと略す)を使って書いている。…

幼い頃の自分について語る

幼い頃の自分について語る

1  ぼくは六歳から十四歳くらいまでの期間を、瀬戸内海に面したふたつの町で過ごしました。もうずいぶ…

ビーチコウミング・フォ・ジャパニーズ・グラス・フロウツ。なんのことだか、わかりますか。

ビーチコウミング・フォ・ジャパニーズ・グラス・フロウツ。なんのことだか、わかりますか。

『ビーチコウミング・フォ・ジャパニーズ・グラス・フロウツ』という本をぜひ紹介したい。ビーチコウミング…

波の上を歩いた姉

波の上を歩いた姉

 十五歳の夏の終わりに、姉は日本からカリフォルニアへ帰った。僕はハワイへ戻った。島はおなじだが、もと…

3月13日 フィクション 1

3月13日 フィクション 1

「お酒を一杯だけ、つきあってほしいの」  と、彼女は、電話のむこうで言っていた。  長距離電話の…

『パリ・テキサス』を観た

『パリ・テキサス』を観た

 空中から撮影した荒野が画面に映る。その荒野のなかを、ひとりの男が歩いている。いったいこの男になにご…

パリから一通の封書が届いた

パリから一通の封書が届いた

 もう何年もまえに東京からニューヨークへいってしまい、いまでは主としてニューヨークとパリで忙しく仕事…

猫の寝る場所

猫の寝る場所

 猫の多江子は、突然、目を覚ました。いつもの癖だ。気持ちよく眠っているその眠りのちょうどまんなかあた…

ガールの時代の終わりかけ

ガールの時代の終わりかけ

 僕が新卒の新入社員として、会社というものをかすかに体験した時代は、いつだったのですかという質問に対…

大統領によれば

大統領によれば

2001年9月11日の午前九時すぎ(現地時間)、ブッシュ米大統領はフロリダ州にある小学校を訪問してい…

銀座で夕食の約束

銀座で夕食の約束

 銀座で夕食の約束があった。僕と男性もうひとり、そして女性がふたりの、合計四人だ。女性たちのうちのひ…

アメリカのお気に入りは、ひたすら甘く、あくまでも軟らかい

アメリカのお気に入りは、ひたすら甘く、あくまでも軟らかい

 アメリカのスーパー・マーケットで買物をするたびに、ふと思うことがひとつある。それはなにかというと、…

本を開いたらチューリップが咲いた

本を開いたらチューリップが咲いた

 世のなかに本ほど奇妙なものはない。四角く切った薄い紙が何枚も、一辺においてのみ綴じてあり、その結果…

彼女が愛する小さなデスク

彼女が愛する小さなデスク

 彼女の自宅にある仕事部屋は彼女が作った。ただの空間でしかなかったところに手を加え、工夫をこらして、…

部屋を楽しんでいる人

部屋を楽しんでいる人

 いま彼女がひとりで住んでいる部屋の設計に関して、彼女はいっさい関係していない。父親とその弟が共同し…

ピアノを弾く人

ピアノを弾く人

ピアノを弾く人  ピアノを弾く女性が、好きだ。ひとりの女性の生き身が、ピアノというたいへんに構…

世界でいちばん怖い国

世界でいちばん怖い国

 カーヴした静かな道からかなり高くなったところに、いまの僕の仕事場の建物がある。道の側にあるいくつか…

水になった氷の悲しみ

水になった氷の悲しみ

 仕事の用件で編集者に電話をかけた。用件をめぐる話が終わると、 「ちょっと待ってね、替わります」 …

家庭から遠かった男たち

家庭から遠かった男たち

 自分の家庭以外のところで食事をすること、たとえば街の軽食堂で昼食にせよ夕食にせよ、一回の食事として…

映画の中の昭和30年代 『妻』

映画の中の昭和30年代 『妻』

戦後の日本はやがて崩壊する仕組みのなかにあった。 一九五三年の映画がそのことを静かに教えてくれる。 …

映画の中の昭和30年代 『女が階段を上る時』

映画の中の昭和30年代 『女が階段を上る時』

一九六〇年の日本でバーが全盛期を迎えた。 会社勤めの男たちがもっとも安心して寛げる場所だった。 『…

近未来を書きませんか

近未来を書きませんか

 八月をあと十日残す、雨のような薄曇りのような日の午後、下北沢の喫茶店で二十代の編集者と会った。コー…