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評論・エッセイ

真夜中のオートバイ

東京をオートバイで走るのが、彼はあまり好きではない。せまい道路に自動車が多すぎ、しかもその自動車が信じられないほどに優遇されている。人も多く、むちゃくちゃな歩き方をしている。それがなくなる真夜中は走りやすいが、だから真夜中に走るわけではなく、真夜中の手ざわりみたいなものを楽しんで走るのだ。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』太田出版 一九九六年

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