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評論・エッセイ

ガス・ステーションのブルース

町のほうからまっすぐに走ってきた大きなオートバイは、ガソリン・スタンドの手前で減速し、なかに入ってとめた。若いライダーは駐車スペースの端にある水道の蛇口にかがみこみ、水をほとばしらせ、自分の頭をさしだした。そのあいだにオフィスから若い女のこがひとり出て来た。オートバイのわきまであるき、彼女は待った。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』太田出版 一九九六年

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