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評論・エッセイ

「俺の家はどこだったかな」

おなじ大学のおなじ学部を卒業しているふたつ年上の友人は、ぼくのことをいつでも「おい、片岡」と呼ぶ。彼との物語をどのへんから書いたらいいだろうかと思いつつこうして書きはじめていまふと思い出したのは、つきあいがはじまってまだ間もないころ、秋の夜更けに、「おい、片岡」と、電話がかかってきたときのことだ。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』太田出版 一九九六年

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