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写真集『この夢の出来ばえ』、エッセイ『サウンドスケープを歩く』など12作品を公開

写真集『この夢の出来ばえ』(ビームス/2012年)、かつて存在した片岡義男の公式ブログ上で2005年に公開された、著者自身による作品解説『著者は語る』、雑誌『Coyote』に連載されたエッセイ『サウンドスケープを歩く』(全10回/2007〜2008年)の計12作品を本日公開いたしました。

 この写真集で、僕は東京の景色を撮っている。そこに僕の潜在意識が出ているとしたら、それは何なのか。被写体は僕が作ったわけじゃないし、手を加えたわけじゃない。できるだけあるがままに、できるだけニュートラルに撮っている。切り取ったその構図だけが、僕のものだ。それは同時に、そのとき持っていたカメラの装置的な限界でもある。そういう切り取り方しかできないから、そう撮っているわけだ。

(ビームス/2012年4月)

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 2005年に発売された『物のかたちのバラッド』収録の作品について、著者自身が短い解説を加えた「あとがき番外編」ともいうべきエッセイ。2005年当時開設されていた「片岡義男公式ブログ」に掲載されたものをそのまま再録。
「『物のかたちのバラッド』はどれもみな絵を描く男性が主人公になっていて、その主人公のありかたが、目次のうしろに向けて作品が進んでいくに従って、少しずつにせよ進化していくのです。書いた当人としてはそう思っています」

(「今日という昔」片岡義男公式ブログ 2005年2月14日〜4月7日掲載)

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 ボーズのアコースティックウェーブミュージックシステムⅡというオーディオ装置の、自分にとって最も好ましい使いかたを、僕は見つけ出した。ソファにかなり楽な姿勢ですわった僕から、1メートルあるかないかの至近距離のところに、高さ55センチほどの小さな台を置き、その上にシステムを載せる。装置の正面、まんなかにあるBOSEのロゴが、僕の臍とみぞおちとの、ちょうど中間あたりと向き合う。音楽を聴くだけではなく、音波を物理的な刺激として受けとめる快感をも、楽しむことが出来る。

(『Coyote』No.16 2007年4月号掲載)

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 20代なかばからごく最近まで、原稿を書くための専用の机として、松本民芸家具によるライティング・ビューローを、僕は使って来た。原稿用紙と万年筆しか置かないという、ライティング専用の机として、このサイズは僕の気持ちをなんの無理もなく原稿に集中させてくれた。これまでに書いた文章の、おそらく90パーセントほどを、僕はこのビューローで書いた。そしてこのビューローはいまではBOSEのマイクロミュージックモニター(M3)という、素晴らしい性能を持った小型スピーカーの、専用机となっている。M3では右側のスピーカーにアンプが内蔵してあるから、CDプレーヤーとM3をつなぐだけで、小さなスピーカーからの音を顔まで五十センチほどの至近距離で聴くという、僕の長年の夢が実現してしまった。

(『Coyote』No.17 2007年5月号掲載)

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 ケイ・スターの歌声を聴くことにした僕は、彼女のCDの最初の曲『サイド・バイ・サイド』を受けとめた瞬間、ちょうど50年ほど昔の、完全に忘れていた出来事のすべてを、ディテールとニュアンスも豊かに、いっきに思い出した。高校生だった頃、おなじ年齢の近所の友人に、5歳ほど年上のお姉さんがいた。彼女はジャズやジャズふうの歌が好きで、自宅ではいつもLPを聴いていた。一度でいいから舞台に出て観客の前でジャズを歌ってみたい、というのが彼女の口癖だった。口癖を現実とするため、彼女はラジオののど自慢番組に出ることにした。彼女の応募は受理され、この僕が特訓を頼まれた。英語の歌詞の発音、そしてそれをリズムやメロディにのせるための特訓だ。

(『Coyote』No.18 2007年6月号掲載)

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 230SQというBOSEのスピーカーを写真に撮ってみた。せっかくだからアンプを経由してCDプレーヤーをつなぎ、撮影している間ずっと、僕は音楽を受けとめていた。輪郭の太くて明確な、力の強いはっきりした音は、なにかをしながら受けとめるものとして、たいそう快適だった。スピーカーの性能としてはこれとまったく同じで、正面のグリルがスピーカー本体と同一サイズの簡潔な円形となっている、230SMというシリーズもある。こちらにも僕はいま強く惹かれているところだ。バランスのいいこの容積を視覚的に楽しむには、おたがいに近接させた状態で平たいところに仰向けに置くといい、と僕は思う。

(『Coyote』No.19 2007年7月号掲載)

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 デスクトップを1台、買うことを考えている。インタネット・ラジオへのアクセス専用にしたい。持ち歩くことはせず、部屋のなかのどこかに置いたままとなるから、見た目の印象で選ぼうと思う。性能に関してはどのデスクトップもほぼおなじレヴェルだということにすれば、残された基準は外見つまり造形に関する好みしかない。分厚いのがいい、ときめたところだ。いちばん分厚いデスクトップPC。好みのものが手に入ったなら、BOSEの「コンパニオン2Ⅱ」というスピーカー・システムをつなぐ。かたわらに置いてこれに調和しないデスクトップを探すのは難しいだろう。音を小さくしても、そして至近距離でも、音は迫力を失わない。

(『Coyote』No.20 2007年8月号掲載)

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 1974年から13年にわたって、FM局の週に1度の2時間番組の進行役を僕は務めた。会話と音楽がほぼ半々だったから、音楽は1時間分が必要だった。前半の7、8年は、あらためて聴かなくてもよく知っている曲を、LPの裏の曲名を見ながら選んでいた。後半になるとそうもいかず、20枚ほどのLPを聴いてはそのなかから選ぶことになった。LPを聴くためのモニターは、フル・レンジのドライヴァーひとつだけの、オーラトーンのキューブだった。これはと思う曲があったら、それをウォークマン・プロフェッショナルという録音再生機で録音した。そしてそのカセット・テープを最初からプレイバックで聴いていった。このときの専用スピーカーが、発売されたばかりのBOSEの101MMだった。

(『Coyote』No.21 2007年10月号掲載)

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 BOSEのヘッドフォーンを写真に撮ることになった。ヘッドフォーンを僕はこれまで使ったことがなかった。だからただ観察しているだけでも、新鮮な発見は充分にあった。ヘッドフォーンは面白いかたちをしている。人間の頭を聴覚を中心にして抽象化した造形のようだ。写真に撮る前に、このヘッドフォーンで僕はジェリー・サザンの『サザン・スタイル』を聴いてみた。何度も聴いたアルバムだが、ヘッドフォーンから再生音をほとんど直接に耳のなかに入れるのは、初めての体験だった。最後の曲である『スカーレット・リボンズ』を彼女はギターの伴奏で歌う。ヘッドフォーンで聴く彼女の歌声そして演奏のあらゆるディテールを、僕はひとりじめにした。

(『Coyote』No.22 2007年11月号掲載)

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 今回のこの写真の被写体として、BOSEの125ウェストボロウというスピーカーを預かっていた僕は、ボブ・ディランの最初の2枚のCDをこのスピーカーで聴いてみた。初めて体験するスピーカーで最初に再生してみる音楽を全身で受けとめる瞬間、このスピーカーはこの音楽のためにある、と思い込んでしまうのが僕の信条のようになっているが、BOSEの125とディランに関しても、まさにそのとおりだった。僕の思い込みなどあっさりと粉砕して、20歳のボブ・ディランが46年ぶりに僕の目を覚ましてくれた。デビューしてから現在まで、ディランの歌のすべてを125ウェストボロウでいっきに聴いてみたい、という誘惑に僕はかられた。

(『Coyote』No.23 2007年12月号掲載)

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 iPodをドックさせるための、アンプ内蔵のスピーカー・システムだ。かさばらない充電池を背面につけることが出来る。だからどこへでも持ち運ぶことが可能だ。家のなかであちこち持って歩きながら、そして場所を変えながら聴くと、聴きなれた曲でも思いがけない発見があるのではないか。直径6センチのフルレンジ・ドライヴァーをアコースティック・ウエーブガイドや音質制御の技術が縦横に助けるから、放たれてくる音の力強い輪郭や横幅の広がり、奥行きの深さなど、まずたいていの人が驚く。

(『Coyote』No.24 2008年1月号掲載)

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 ボーズのM2、コンピューター・ミュージック・モニターは、マイクロ・ミュージック・モニター(M3)の後継機だ。パーソナル・コンピューターの両側に置くスピーカーとして、これを越えるものを見つけるのは難しいのではないか。アンプは内蔵されているから、CDプレーヤーやデジタルの音楽再生装置をステレオ・ミニジャックでつなぐだけで、素晴らしい再生音を楽しむことが出来る。僕の作業室にあるM3の専用デスクでは、見当をつけて資料を次々に拾い読みしていくのと同じ感覚で、何枚ものCDからこのトラック、あのトラックと、連続して何曲も聴いていく、という聴きかたがたいそう快適に出来る。M2でもう一系統、ぜひ欲しいではないか。

(『Coyote』No.25 2008年3月号掲載)

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2024年3月22日 00:00 | 電子化計画

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