NHK-AM「高橋源一郎の飛ぶ教室」で『白いプラスティックのフォーク』を紹介
作家の高橋源一郎さんがパーソナリティを務めるNHK-AMラジオの人気番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」。 5月15日(金)の放送では、高橋さんが現代の世相や時局を分析し、おすすめの一冊から現代社会を生き抜くヒントを読み解くコーナー【ヒミツの本棚】にて、片岡義男の『白いプラスティックのフォーク 食は自分を作ったか』が取り上げられました。
『白いプラスティックのフォーク 食は自分を作ったか』は、片岡が終戦直後から占領下の日本で過ごした幼少期の記憶を起点に、食べ物から見えてくる個人の歴史と、食を通した戦後日本の歩みを語り直した一冊です。
高橋さんはコーナーの冒頭で、「片岡さんは日本文学を代表する大作家だと思っているんです。純文学ではなくエンターテインメントということで文学史ではあまり取り上げられていないのですが、それは間違っている。こんなにすごい作家はいません。いつか小説の話もきちんとしたいと思っています」と絶賛。その上で小説だけでなく、評論やエッセイなど幅広い領域を手掛けていることを紹介しました。そして、本書に登場する食べ物の記憶が、片岡より10歳ほど年下である高橋さん自身の記憶とも深く重なっていることなどを語られました。
今回番組でフォーカスされたのは、「あのトースターの謎を解く」「砂糖は悲しいものだった」の2篇。高橋さんは朗読を交えながら、「子どもにとって一番身近なものは食べ物であり、子どもはそこから世界を見ている。逆に言えば、食べ物を通して世界観が形作られることがある」と解説。本書は、食べ物の背景にあるアメリカ文化(現代の人々が想像するアメリカとは少し異なる、静かで、正確で、豊かだった時代のアメリカ文化)が、戦後の幼かった著者をいかに育んでいったかを描いたものである、と紹介しました。
さらに終盤では、「食を通じて世界や自分を見て、そこから今を見る」という例として、同書に収録された「大変な時に生まれたね」をピックアップ。1945年当時の日本の凄惨な食糧事情に触れた、以下の印象的な一節を朗読されました。
「これは確かに大変だ。あるまじきことだ。なんというひどいことか。道端の草を料理して積極的に食すれば、それは決戦料理であるというところが一番ひどい。国民に対してこのようなことをする日本政府が敗戦と同時に消滅したわけではない。今も健在だ。同じようなことをまたやるだろう。そしてその時は、道端の草どころではない、もっとひどいことになるはずだ」
高橋さんは、もし今の子どもたちが大人になったとき、現代の食体験を子ども時代の視点から振り返って書いたなら一体どうなるだろうか、とリスナーに問いかけて話を結びました。
なお、高橋さんは4月28日に河出新書から新刊『食べる本』を上梓されたばかりです。この執筆にあたり、食に関する本を膨大に読み進めたという高橋さんは、「『白いプラスティックのフォーク』はその中でも傑作中の傑作。時間があったら3時間くらい語りたい」とも熱っぽく話されていました。
高橋さんの新刊『食べる本』の作中では、番組で紹介されたエピソード以外にも、「友だちの家で食べた」「アイスキャンディ」「玩具として買うには面白い」といった『白いプラスティックのフォーク』の作品について触れられています。
また、番組後半のコーナー【きょうのセンセイ】には、東京・世田谷などに出店されている「堀口珈琲」の創業者であり、現在は堀口珈琲研究所の会長を務める堀口俊英さんが出演されました。「堀口珈琲」は、片岡義男のエッセイ「そしてその他の物語 第19回」や、「東京を撮る22 ささはらおうだんほどうきょう」にも登場しています。
※なお、放送後1週間は「聴き逃し配信」でもお聴きいただけます。
2026年5月18日 18:00 | メディア掲載
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