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エッセイ

大変なときに生まれたね

 推理小説作家の横溝正史さんは、夏を軽井沢の別荘で過ごしていた。確か一九七五年の夏、横溝さんにインタヴューを受けてもらうために、僕は日帰りでその別荘を訪ねた。FM局の二時間番組の進行役、という仕事も当時の僕はこなしていた。その番組のなかにインタヴューないしは対談のコーナーがあり、番組のスタッフとともに別荘を訪れ、横溝さんと二、三時間、話をしたのだった。
 新人作家だ、ということのほかに、僕についての予備知識など、横溝さんは持っていなかったはずだ。その初対面の僕に関する、横溝さんの第一印象は、いい声できれいな東京弁を喋るん…

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