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エッセイ『町からはじめて、旅へ』より15作品を公開

エッセイ『町からはじめて、旅へ』(晶文社/1976年)より15作品を本日公開いたしました。なお、底本には2015年の改版を使用しています。

バスは、ロードマップにある数多い町の大半を、ただうなりをあげ、ジュラルミンのボディを西陽にきらめかせつつ、走り抜けてしまった。こんどは、その町のひとつひとつに立ち寄ってみよう。そして気がむいたらコダック・インスタマチックで——。

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アメリカ、テネシー州を走る森林鉄道。地図の上では1本の線だ。だが、その線は生きている。日本地図の一番外側に沿って走る線も同じだ。地図を眺めながら思ったままを、自分自身に語りかけてみた。なんだ、おまえは、日本をぐるっと一周したことすらないじゃないか。そのくらいのことやってみろよ。自分の国じゃないか。

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ダムの底に村が沈む話は、残念なことに、もう珍らしくもなんともなくなっている。日本でいったいどれだけの村が、ダムの底に消えただろう。だが、水没する以前の古い村落を、ぼくはまだ一度も見たことがなかった——。

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ナショナル・ブレッド・バスケット(アメリカのパンかご)などと呼ばれている小麦畑地帯がアメリカにあることは知っていたが、それがいったいどのくらいの広さなのかは、小麦の生産地図を見るまで知らなかった。カンザスとコロラドの州境に近いところで、ぼくはこの小麦畑を見たことがある。

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地図にない旅は、その気になれば、どこにでも見つけだすことができる。利根川に興味を持ったことがあり、その源流はどこなのだろうかと思って地図をよく見なおした。奥利根湖のずっと北、丹後山の東あたりが源なのだろう——。

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昔話というノスタルジア・ゲームは、現在の自分のありかたに思いを至らしめるきっかけであるとき、ある種の力を持ちうる。昔の風の吹き方と陽の差し方だけを六感の記憶の中にとどめ、新しくて普遍的であるようなもの、例えば高層ビルのようなものは忘れる。それと入れ違いに蘇ってくるものは……。

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ぼくは、みやげもの屋が好きだ。ハワイのみやげもの屋でいまいちばん一般的なのは、ワイキキのキングス・アレーだろう。——たいくつと言えば、たいくつこのうえない。しかし、面白いと言えばかなり面白い。

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ハワイの二世たちは、「日本語は、ややこやしい。イングリシのほうがえっとみやすい」と、よくいう。彼らはアメリカ人なのだし、なにか言おうとして口を開けば英語がもっとも自然なものとして出てくる人たちなのだから、その英語に比較して、「日本語がややこやしい」(ややこしい)のは、当然のことだ。そのややこしさとは……。

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英語を勉強することは、自分の肉体に何事かを覚え込ませることなのだ。例えば、アメリカ人に睨みつけられて「この馬鹿野郎!」と言われたとき、「馬鹿野郎とはなんだ、この野郎」と、必要最小限の言い返しがアタマの作業ではなく自分の肉体の反応としてとっさに出てこないかぎり、言語が肉体の問題になっているとは言いがたい。

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サーフ映画とは一体なんだろうかと、非常に稀薄な意識でほんのわずかな興味にひかれ、ぼくは映画館に入った。……観終って、ぼくは、すっかり忘れていたことを思い出していた。そうだった! 世のなかにはこういうものがあったのだ! なんと素晴らしい世界なのだろう!

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ポイは、ハワイのソウルフードとも言われるもので、タロイモを蒸して水を加え、ペースト状に潰したもの。混ぜる水の量で粘り気が異なり、その固さはすくう指の本数で表される。二本指にポイをからませ、うまくすくえればそれがトゥー・フィンガー・ポイだ。

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アロハやムウムウのプリントや色調は、地元の人たちが着るものと観光客が買うようなものとでは明らかに違いがある。地元の人は実にさりげなくアロハを選んでいて、まわりの情景にそのアロハ・シャツはぴたりと溶けこんでいる。地元の人と同じものがどうしても着たければ……。

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日本からハワイへ新婚旅行にいくと、たいていホテルはモアナかプリンセス・カイウラニになるはずだ。ホテルを出て海岸に向けて歩いていくと、歩道のワキに、大きな黒っぽい岩がいくつか、固まって置いてはなかっただろうか。この岩はカフナ・ストーンと呼ばれている。

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ハワイの島々で、川の水以上に大切な水資源は、島の底にいつも眠っている巨大な水の塊だ。山の表面から染み込んできた水が、島の底の玄武岩の中にたまるのだ。そこには、火山で吹き上げられて山裾に流れ出た溶岩の、ハワイならではの特性がある。オアフ島ではドリンキング・ウォーターの90%以上がこの真水の層から取られている。

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海岸から少し小高くなった丘のうえに、その樹は立っている。大きな樹だから、七十年や八十年はたっているだろう。その樹影のなかに、いまぼくはすわって海をながめている。全身で樹影と会話しながら、ぼくはふたつのまったく異なった世界を自分のなかで想像し体験している。その世界とは……。

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2022年6月14日 00:00 | 電子化計画

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