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連載小説『C♯m シー・シャープ・マイナー』を公開

雑誌『JJ』(光文社)に1982年4月号から1983年7月号まで16回にわたって連載された小説『C♯m シー・シャープ・マイナー』を公開いたしました。

7月の雨の日の午後。500cc、V型2気筒水冷4サイクル・エンジンの1台のオートバイを駆って、静岡から新宿の超高層ホテルにやってきた一人の女性。シンガーソングライターの榊原博子だ。小規模なコンサート活動を重ねつつ、最初のLPアルバムのための曲づくりも並行してこなしている彼女にとって、今日と明日の2日間は貴重な休暇だ。その2日間に会うのは7人の男性。彼らとの会話の中から、彼女という人の輪郭が浮かび上がってくる。

「たしかに私は私なのだけど、ほんとうの自分というものがはっきり自分自身に見えてくるまでには、まだ時間がかかると思うの」
「私が女であることは、もうぜったいに変わらないのだから、雌としての魅力は美しく高度に洗練させるべきだと思うけど、それ以外は、女だからとか、女として、と思うようなことはないわ」
「女だからとか、女として、とかいつも考えてたら、自分にとってそれがひとつの強い枠になってしまうでしょう。枠のなかでしか動けなくなるわ」

1980年代初頭の彼女の言葉は、時代を超え、男女を超えて今の時代を生きる人にも響くものがあるのではないだろうか。

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2022年6月17日 00:00 | 電子化計画

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