後悔くらいしてみたい
後悔にはふたとおりがある。ひとつは、過去において自分がしたことをいまになって悔いる、という種類の後悔だ。そんなことをするとあとで後悔するよとか、あんなことをしてしまって後悔してるんだ、といった後悔がこれにあたる。もうひとつは、あのときあれをやっておけばよかったのになあ、と過去において自分がやらなかったことをいま残念がる、という種類の後悔だ。後悔先に立たずという格言は、さすがに格言だけあり、このふたとおりの後悔のどちらにも適用できる。
後悔という言葉の意味を国語辞典で確かめてみると、あとになって悔いることと出ている。悔…
底本:『ピーナツ・バターで始める朝』東京書籍 2009年
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