VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

荒野に吹く風

 はじめてのときは、アリゾナやニューメキシコの荒野の上空を、飛行機で飛んでしまった。残念なことをしたものだと、いまでも口惜しく思う。
 アメリカのまんまんなかはどんな感じだろうかと思い、カンザス州に狙いをつけ、ウイチトーとかトピーカ、あるいはカンザス州側のカンザス・シティあたりへいってみようとしていた。ロサンゼルスの空港でカンザス・シティ行きの便をみつけ、切符を買ってロビーみたいなところを時間までうろついていたときひとりの少年と知り合いになった。知り合いになったと言っても、行きずりにすこし親しく口をききあっただけのことだ…

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 1980年

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