VOYAGER

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小説

アリゾナ・ハイウェイ

移動する時間の長さが違えば、別れと、別れの後の出発の仕方も違うはずだ。

ある者はロディオ・ライダー。かつて栄光に輝いた彼も今年は惨敗、負傷し、おまけに妻は1人になりたがっている。そのロディオ・ライダーを空港まで大きなオートバイで送り届けた日本人青年も、西海岸から東海岸までの長い移動を妻との別れ話にあてる、という試みの最中だ。いっぽうで帰宅してみたら愛する妻と子は書き置きを残して家を出てしまった、という歌を好んでいた長距離トラック・ドライヴァーは自分歌の内容と寸分たがわぬ人生を歩むことになる。別れの痛みとともにある人々を慰撫するのは、アリゾナのむき出しの荒野だけだ。

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