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評論・エッセイ

11月2日 六〇年代

 一九六〇年代はじめのぼくの身辺には、アメリカ人の友人たちがいつも何人もいた。主としてジャーナリストの男性や女性が、入れかわりたちかわり次々にアメリカから日本に来ては、仕事をしていた。彼らがロこみでぼくのことをおたがいに伝えあうので、ぼくが当時ひとりで住んでいた家は彼らにとっての無料の宿泊所のようになってしまっていた時期もあった。日本へは初めて来る、という人たちが多く、日本へのイニシェーションにぼくがいつも加担していた。
 一九六〇年の十一月の大統領選挙でケネディがニクソンを僅差で破って当選したあたりから、ぼくの一九六〇…

底本:『すでに遥か彼方かなた』角川文庫 一九八五年

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