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評論・エッセイ

七月一日、朝、快晴。円満退社

 ぼくが大学を出て就職したころのことについて、すこし書いてみよう。記憶があいまいになっている部分があるかもしれないが、できるだけ正確に書くつもりだ。
 大学四年の五月、六月にかけて、つまり夏休みに入るずっと以前に、おなじ大学の友人たちの、おもだった連中は、すべて就職をきめていた。
 大学には就職課みたいなところがあり、そこにはいろんな企業に関する資料が集めてあり、大学卒業予定者に対する求人の状況なども、ここへ足しげくかよっていればかなり正確につかめるようになっていた。
 この就職課が大学のどこ…

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 1980年

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