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エッセイ

正社員という絶滅危惧種

 正社員、という言葉を目にする機会が多いことに、ふと気がつく。人の口から聞くことも多い。街頭で取材中のTVカメラに向かって、「今年卒業ですけど、会社に入るなら正社員を希望しますね、やっぱり」などと、青年が語っている。ほんのちょっと前までは、会社に就職するなら正社員があたりまえ、という時代が長く続いた。正社員ではない雇用のされかたのほうこそ、なんらかの事情のともなう、明らかにやや特殊なことだった。
 正社員になるのはいまではもうすでに難しいことであり、就職にともなって自動的に手に入る雇用の形ではなくなった現実を、正社員とい…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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