自分らしさを仕事にする
なんらかの仕事をし、それに対する報酬を金銭で受け取り、その金銭で自分の生活の全域を維持させていく、というもっとも一般的な意味での仕事を、この僕といえどもおこなっている。おこなっているどころではない、のべつまくなしにびっしりと、休みなく毎日、四六時中、そのように仕事をし続けて、すでに三十五年以上が経過している。
ではその仕事の内容はなになのかというと、いまこうしてここに書いているような文章を、次から次へと書くことなのだ。領域はかなり広いと自分でも思う。肩書は作家であっても、小説だけを書いているわけではない。むしろ小説は…
底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年
関連作品
前の作品へ
次の作品へ