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評論・エッセイ

1月20日 私の学校

 小学校から高等学校まで、学校の教室におけるぼくの席は、いつもいちばんうしろだった。しかも、窓ぎわだ。窓ぎわのいちばんうしろの席以外の席にすわった記憶がぼくにはない。
 なぜいつもいちばんうしろだったかというと、少年のころのぼくはほとんど学校へいかなかったからだ。たとえば小学校は六年間もあるが、ぼくが小学校の教室のなかですごした日数は、六年間をとおして三百日あるかないかだと思う。その証拠に、少年や少女が小学校でごく普通に学ぶさまざまなことがらのうちの非常に多くを、ぼくは大学生になってから意識的に勉強してようやく知った。い…

底本:『すでに遥か彼方かなた』角川文庫 一九八五年

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