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エッセイ

爆弾の穴について思う

 畑にできていた爆弾の穴について、いま僕は思っている。日本が太平洋戦争に大敗北する前年の春先から、昭和二十二年の夏の終わりまで、五歳から八歳までの四年間、僕は山口県岩国市の瀬戸内に面した町で過ごした。米軍による爆撃が激しさを増す東京を逃れて、祖父と親族が住む場所へと疎開したのだ。
 その祖父あるいは親族の誰かの所有になる畑が、あちこちにあった。祖父とともに住んだ家から歩いて五分ほどのところの畑がもっとも近く、そこからさらに十五分も歩くと、山陽本線・岩国駅の南側、駅からすぐ近くにも畑があった。僕がはっきり記憶しているのはこ…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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