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評論・エッセイ

僕の国は畑に出来た穴だった

この作品は、『日本語の外へ』「第2部 日本語──ペシミズムを越えようとしていいのか」
に収録されたものです。

 僕はいま一枚の写真を見ている。八十センチ四方ほどの大きさにプリントされた、黒白の航空写真だ。二メートルほどの距離を置いて画面のぜんたいを眺めると、ディテールのなかなか鮮明な写真だ。プリントのしかたに注意を払い、範囲をもっと狭くしぼり、これの四分の一ほどのサイズにプリントしたなら、細部はもっと克明に浮き上がるのではないか。昭和二十二年十一月七日の午後、おそらく二時から三時頃にかけて…

底本:『日本語の外へ』角川文庫 2003年
『日本語の外へ』筑摩書房 1997

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