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評論・エッセイ

戦後日本の転換点

二〇〇四年三月九日(*日付については、「まえがき」参照)
 戦後の日本にとっての最大の安全保障は、安保を軸にした日米軍事同盟の維持、そして近年ではその拡大だと言われてきた。日本と近隣諸国とのあいだの、政治的あるいは経済的その他すべての、ひとまずは安定した関係は、日米同盟という軸あればこそのものとされ、日米同盟は軍事にとどまらず、なにかにつけてのアメリカへの支持と加担へと、限定なしで広がってきた。
 これが日本にとっては唯一と言っていい選択とされ、それしかないという状態で戦後の五十八年間を過ごしてきた。選択肢…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

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