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評論・エッセイ

半世紀を越えてさぼったこと

二〇〇四年三月十四日(*日付については、「まえがき」参照)
 日本にとって戦後とは、冷戦が続いていた期間だったようだ。冷戦が終わったあとは次の段階の時代に入ったのだが、日本は気づかないままここまで来た。戦後ずっと、日本はアメリカの傘の下にいた。いまもそこにいる。そしてその傘の下で、日本は外交と軍事をさぼった。どちらも国の根幹にかかわることだが、戦後の日本にとって国の根幹とは、自動車産業の成長や家電のシェア合戦だった。そして国について考えたり語ったりすることは、タブーにまでなった。
 なにしろさぼりにさぼった…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

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