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『BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』など小説3作品を公開

長編小説『BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』(JICC出版局『宝島』/1975年4月号~1976年2月号)、短編推理小説『魔女の森から』(双葉社『推理』/1972年1月)、『悲鳴で終る物語』(双葉社『推理』/1972年5月)の3作品を本日公開しました。

 日本では1970年に公開された映画『明日に向かって撃て!』の主人公で実在の銀行強盗、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの、映画で描かれる以前の10代後半からの数年間を描いた長編フィクション。2人の出会いからコンビとしての最初の現金強盗、そこで出会った不思議な魅力を持った女性・ライザや、写真技師のオルバニーなど架空の人物に加え、キッド・カーリーとその仲間であるワイルド・パンチの面々、ピンカートン探偵社など実在の人々や組織も登場。自営農地法の成立で西部地域に資本家たちが手を伸ばし始めた頃の社会情勢も巧みに織り込みながら、若きブッチとサンダンスの日々が描かれる。まるで映画を見ているような銃撃戦における描写と、写真機を操るオルバニーの描写を同じ比重で描くことで、彼らが生きた時代と青春が重ね合わされている。

(『宝島』JICC出版局/1975年4月号~1976年2月号掲載)

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 その日、結婚4年目の柴崎玲子は、スキーの怪我で自宅療養中の夫の待つマンションに予定時間よりも遅れて帰った。夫の返事がないことを不審に思いながら居間へ入った玲子は、そこで腹を刺され大量の出血をして倒れている夫を発見するが、夫は「窓を…」というような言葉を残して絶命する。警察による同じマンションの住人や警備員からの聞き取りの収穫はゼロ。玲子も聴取を受け、その際に夫の子供時代の怪我について聞かれるが、彼女には心当たりがなかった。ある日、ふと夫のみぞおちに古い傷跡があったことを思い出す。小学校6年生の時の学芸会でつけたものだと彼は語っていた。警察の捜査が進まない中、玲子は夫の古傷についての手掛かりを探すべく彼の故郷へ行き、小学校時代のことを知る夫の友人たちに会い、当時の話を聞いていく。小さな思い出から炙り出された事件の意外な真相とは……。ミステリのプロットで書かれた短編恋愛小説とも言える作品。

(『推理』双葉社/1972年新年1月特別号掲載)

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 画家である夫・恒太郎を持つ律子の家には、義姉の末っ子でありながらなぜか律子に懐いている、6歳になる甥の隆彦が時々遊びにやってくる。隆彦は敏感だが妙に回りくどかったり、ささいなことを自分だけで面白がったりするような一風変わった子だった。ある日、いつものように律子のところにやってきた隆彦は唐突に「ごめんね」と言い出す。昨年の夏、恒太郎の個展へ一緒に行った際、隆彦は壁に掛かっていた1枚の絵を背にし、大声で泣き出したのだ。それはベッドにうつぶせになっている、若い裸の女性を主題として描いた『静物』と題された絵だった。やがて、その絵が描かれるまでの経緯が、思いもよらぬ展開で徐々に明らかになっていく……。通常のミステリー作品ならばじっくり書かれるであろう場面を大胆に省略した、特異なスタイルによるサイコ・ミステリー。

(『推理』双葉社/1972年5月特別号掲載)

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2024年6月7日 00:00 | 電子化計画

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