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小説『七月の水玉』より3作品を公開

小説『七月の水玉』(文藝春秋/2002年)より3作品を本日公開いたしました。

美大の写真科の学生、原田裕介は担当教授に彫刻家の長谷川修司を紹介される。彼は原田が入学以来3年間写真を撮り続けた、学内にある女性像の作者だった。原田は、その女性像のモデルを二十年前に務めた女性が、今は近くの喫茶店をやっていると教授に教えられ、その女性、藤森直子に会いに行く。そして原田は1966年の東京のひと夏を背景に、直子の写真を撮っていく。写真は被写体の魅力をその通りに他人に伝えるためのものだと考える原田と、彼の写真の被写体となった直子。ひと夏の撮影の終わりは、次の新しい物語の始まりでもある。

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写真家の田島は、高校時代からの付き合いで、ずっとその姿を写真にとり続けている西本恵子の家を訪ねる。空手とヨガのインストラクターから30歳を過ぎてコミックス作家へと転身した彼女は、ひねりの効いた男女の関係を描く作家だが、全てフィクションであり自分の体験を描くことはないと言う。田島は、女優である彼女の母親と、多くの作品で組んだ監督が語った言葉や、彼女自身のインタビューを思い出す。それらも「いかに作るか」という話だった。作られた彼女と、そこにいる彼女、写真家の田島は、その両方を見ているのだ。

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高校三年生のヨシオは、その年の五月に隣家の庭と接する部分に境界のように作られた竹垣を取り外すように両家の父親から頼まれる。梅雨になって、その庭の中央に立つ隣家の娘、扶美子と言葉を交わし、そこから二つ年上の彼女との淡い、姉と弟のような交流が始まっていく。年上の彼女に対する思慕の情に彼自身が気づく頃、彼女の一家は引っ越すことになり、彼女はヨシオに強烈な思い出を残して去っていく。淡い、しかし強い性欲も伴う感情に向き合いつつ、その気持ちは、ひとつの方向を見出していく。これは、作家が生まれる瞬間の物語でもある。

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2022年7月22日 00:00 | 電子化計画

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