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小説『コミックス作家 川村リリカ』より4作品を公開

小説『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社/2020年)より4作品を本日公開いたしました。

ある日、川村リリカは野崎百合子からの電話で新たな仕事の依頼を受ける。その電話口でリリカは、先週末に起こった2つの驚くべき出来事を話す。ひとつは、先日会った作家・島崎真紀男が書こうとしてる小説の題材とするためリリカの母親に会いに行き、すっかり気に入り結婚することになったという話。結婚といっても同居はせず届出だけを出し、会いたい時には会い、共に過ごしつつもそれぞれの道を歩むという。もうひとつは、3年ほど会っていないリリカの父親が再婚するという話。その父親は、かつてリリカが一人暮らしを始める際に彼女に対し、「僕はきみが苦手かなあ」と言ったという。そして百合子もまた……。

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月曜日の午後、とあるビルの会議室に集まったのはリリカ、編集者の寺島里美と男性ライター2人。協同して作っている連載2ページのための打ち合わせだ。話が一区切りしたのち、ライターのひとりである奥村健治と喫茶店に入ったリリカは、奥村から自身の短編をコミックスにできないかと原稿を渡される。翌日、リリカはこの原稿を元に12ページの読み切りとして展開を考え、編集者であり親友の百合子に提案してみることを奥村に伝える。金曜日、百合子と夕飯を共にしたリリカは奥村の原稿を渡し、コミックス化の構想を伝える。そして持参した豆腐とケチャップを見せる。

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ある日、リリカが梨を食べようとナイフで切ろうとしたまさにその時、百合子からの電話が掛かって来た。とりとめもなく話をした後、2人は会うことにする。電話を切った後、リリカは7年前、美大を卒業したばかりの頃に、偶然入った喫茶店に居合わせた百合子との最初の出会いについて思いを馳せる。合流した2人は、作家の島崎真紀男が書こうとしている『団塊の妻』という題名の小説のディテールについて話し合う。島崎はひとりの女性が自立していく話の中に、単なる自立ではなく、自分が属している大きなシステムの本質のようなものを織り込もうとしていた。

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百合子は担当する4つの月刊コミックス雑誌の連載を1冊にまとめる作業のため、リリカの部屋にいた。4種類の雑誌の連載はすべてリリカが描いている。原画を整理しながら絵の中で2人が同時に裸になるストーリーを閃いたリリカ。それはかつて串本のホテルで2人が最初に抱き合った夜の出来事を描くものだ。その後喫茶店でコーヒーを飲みながら、リリカは次の連載で50代半ばの「整った美人」を主人公にした短い物語のアイデアを百合子に話す。いくつかのストーリーのアイデアが出たところで、話は階段を上り下りする姿をお互いに撮り合うという写真集の話へと発展していく。

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2022年7月8日 00:00 | 電子化計画

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