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小説

コミックス作家 川村リリカ 梨を切ろうとしたとき Cutting It In Half

ある日、リリカが梨を食べようとナイフで切ろうとしたまさにその時、百合子からの電話が掛かって来た。とりとめもなく話をした後、2人は会うことにする。電話を切った後、リリカは7年前の美大を卒業したばかりの頃に、偶然入った喫茶店に居合わせた百合子との最初の出会いについて思いを馳せる。合流した2人は、作家の島崎真紀男が書こうとしている『団塊の妻』という題名の小説のディテールについて話し合う。島崎はひとりの女性が自立していく話の中に、単なる自立ではなく、自分が属している大きなシステムの本質のようなものを織り込もうとしていた。

底本:『コミックス作家 川村リリカ』中央公論新社 二〇二〇年
初出:『アンデル』二〇一七年十一月号

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