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エッセイ『「彼女」はグッド・デザイン』より8作品を公開

『「彼女」はグッド・デザイン―片岡義男エッセイ・コレクション』(太田出版/1996年)より8作品を本日公開いたしました。

知り合ってまだ間もない、ある素敵な女性——また会いたいなあ、とぼくが思いはじめていると、彼女から電話がかかってくる。会いたいなあ、と思っていると電話をくれる。ほんとに素敵な女性が持っている、ひとつの傾向ないしは特徴ではないだろうか。

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ニューヨーク、ケネディ空港。飛行機のタラップでポール・マッカートニーがカメラを構え、ファインダーごしに何かを見ている。彼が見ているのは、タラップの外に立っている若いひとりの女性だ。その女性は、大きなハートの型をした箱を、両手で肩の高さにかかげ持っている。ポールはこの箱の縁に左手を軽くかけていた。

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僕たちがいこうとしていた小さな島は、十五年ぶりにハリケーンの直撃を受けた。その島から届いた最初の情報は、被害は相当なものであるにもかかわらず、死者は幸いにもゼロであるというニュースだった。「どうしようか」 彼女に僕はきいた。「行ってみましょう」 きわめて楽天的に、すんなりと美しく、彼女はそう答えた。

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彼女と僕は、まったく同一内容のことを同時に考えることがよくあった。当時の僕は、一週間のうち二日間だけ仕事をすれば充分という生活だったから、都心にいる時間と離れている時間のふたとおりに一週間を分けてみようと考えていた。彼女も同じことを考えているのを知って急にその気になった僕は、早速準備に取り掛かった。

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美しく晴れた初夏の土曜日の午後、自動車のトランクに収まってしまうほどのわずかな荷物を持ち、彼は彼女のところへ引越してきた。四つあった部屋のうちのひとつを彼に提供し、そこを彼の部屋にした。彼の荷物の中に夏物のセーターを見つけた彼女は……。

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彼女の瞳は、じつにきれいなブルーの瞳だ。至近距離からその瞳を見つめていると、瞳のブルーは見れば見るほどその奥行きを増していき、そのきわめて立体的な三次元の空間のなかへ、引っ張り込まれていきそうになる。

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大きな雲の上に乗って、例えば友人たちと野球をする想像を、子供のぼくは楽しんだりしたことを今でも覚えている。そのことについて、ぼくは彼女に語った。「まっ白に輝いている雲の上で、野球をするんだ。打ったボールが雲の外へ出たら、ホームラン。……想像していて、ふと気づくんだ。雲はまっ白に輝いているから、ボールは白だと、おそらく見えない」。

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僕は彼女に好かれている。僕も彼女を好きだ。しかし、何となくしっくりこないことに、僕はしばらく前から気づいていた。どこかで何かがすれ違っているような、何かが少しだけ間違っているような、妙な違和感が、ほんの少しだけ、僕と彼女との間にはある。その理由は……。

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2022年3月25日 00:05 | 電子化計画

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