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評論・エッセイ

セーターで記憶する彼

美しく晴れた初夏の土曜日の午後、自動車のトランクにおさまってしまうほどのわずかな荷物を持ち、彼は彼女のところへ引越してきた。四つあった部屋のうちのひとつを彼に提供し、そこを彼の部屋にした。彼は、いい部屋だなあと感心し、少年のように微笑した。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 一九九六年

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