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評論・エッセイ

キノコ雲の切手

この作品は、『日本語の外へ』「第1部 アメリカ──遠近法のなかへ」
に収録されたものです。
 第二次大戦シリーズという組み切手を、アメリカの郵便公社は一九九一年から発行してきた。やがてなにかあるかな、と僕は思わないでもなかったが、原爆のキノコ雲が登場したことには、少なからず驚いた。なんという二流以下の判断だろう、という意味での驚きだ。妙なキノコ雲だな、とも僕は思った。少なくとも三種類の写真の合成によるものだということだ。
 この図柄で切手になったなら、郵便物に貼られてアメリカから全世界に向けて…

底本:『日本語の外へ』角川文庫 2003年
『日本語の外へ』筑摩書房 1997年

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