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評論・エッセイ

万年筆についての文章

 原稿料のともなう文章を、僕は大学生の頃から書き始めた。原稿料がともなう文章とは、この場合は、商業的に出版されている雑誌に書く、という意味だ。
 そのような文章には、当然のことだが、締切りがある。なにを書くにしても、そのための時間は限定されている。指定された文字数の文章を、一定の期間内に書かなくてはならない。
 大学を卒業してからも、書く作業は続いていった。二十代のなかばの僕は、いまの言葉で言うなら、フリーランスのライターを仕事にしていた。固い意志や明確な目的のもとに、そうなったのではない。自然の成りゆきであり…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 2000年

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